寄与分を認めた原審を取り消した札幌高裁平成27.7.28決定

 親が経営する簡易郵便局の事業に従事した相続人B(原審における相手方B、抗告審における被抗告人B)の寄与分の申立てにつき、家庭裁判所と高等裁判所の判断が分かれた事例をご紹介します。

原審・札幌家裁平成26年12月15日審判

 相手方Bの寄与分について次のように判断しました。

「前記のとおり、相手方Bは、被相続人の指示で、勤めていた会社を退職し、平成元年から、被相続人の経営する○○簡易郵便局での勤務を開始し、被相続人の事業に労務の提供をし、その後少なくとも平成11年頃からは、相手方Bが同郵便局の事業を事実上取り仕切る立場にあったということができる。そして、相手方Bが自ら郵便局を正式経営している平成23年の売上金額が994万円余りであること、その際の給与を除く経費の額が274万円余りであること、相手方B夫婦が被相続人から受領していた給与の額、相手方Bが被相続人の郵便事業に関与していた期間等に鑑みれば、相手方Bが、被相続人の財産の維持に特別の寄与をしたと見るべきであり、その寄与分は、相続開始時における遺産総額(1億0366万0274円)の約3割、金額にして3100万円と認めるのが相当である。」

札幌高裁平成27年7月28日決定

「しかしながら、平成18年○月までの前記郵便局の業務主体は被相続人であったこと、給与水準は従事する事業の内容、企業の形態、規模、労働者の経験、地位等の諸条件によって異なるから、賃金センサスによる大卒46歳時の年収の平均額に充たなかったとしても、被抗告人B夫婦の収入が低額であったとはいえず、むしろ月25万円から35万円という相応の収入を得ていたことが認められること、更に被抗告人B夫婦は被相続人と同居し、家賃や食費は被相続人が支出していたことをも考慮すると、被抗告人Bは、上記郵便局の事業に従事したことにより相応の給与を得ていたというべきであり、被抗告人Bの郵便局事業への従事が、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたとは認められない。」

「更に、被抗告人Bの所得税の申告書、被相続人に関する平成19年分から平成23年分の給与所得退職所得に対する所得税源泉徴収簿によれば、被抗告人Bが上記郵便局の事業を引き継いだ平成18年○月から被相続人が死亡するまでの間、税務上は被相続人に専従者給与が支給されたという処理がされていたが、被相続人が使用していた預貯金通帳の取引履歴には、被相続人の給与等が振り込まれた記録がなく、そのほかにも、上記期間、被相続人に専従者給与が現実に支給されたことを認めることができる的確な資料はない。」

コメント

 家裁は、相続人Bが郵便局の事業から得ていた給与が少なすぎたと判断したのに対し、高裁は相応だと判断した結果、結論が分かれました。微妙な判断であり、参考となる事案です。

(弁護士 井上元)

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