遺産分割審判で競売による換価代金の分配に関する東京高判H28.8.12

 遺産分割審判において、遺産の一部について換価競売を命じる場合の遺産分割の具体的方法につき、幾つかの方法があります。

(設例)

① 被相続人A、相続人はXとY(法定相続分は各2分の1)

② 遺産は、預金2000万円と現物分割ができない不動産(評価額4000万円)

③ XとYの相続分は各自3000万円であり、双方とも不動産での取得は希望していない

④ XとYのいずれかが不動産を取得した場合、相手方に対し代償金1000万円を支払わなければならないが、その資力はなく、不動産を競売により換価して換価代金を分配するしかない

 上記の設例で、遺産分割を行う方法として次の3つが考えられます。

①案 Xに預金2000万円を取得させ、不動産を競売に付したうえで、換価代金からXに1000万円をYに3000万円を取得させる。ただし、換価代金は4000万円とは限りませんので、割合化して分配することになります。

②案 XとYに各自預金1000万円を取得させ、不動産については競売に付したうえ換価代金の2分の1を各自に取得させる。

③案 Xに預金2000万円を取得させ、不動産を競売に付したうえで、換価代金と2000万円を合算して各自の取得分を計算し分配させる。

①案では、換価代金が4000万円とは限りませんので、例えば、不動産が3500万円でしか売れなかった場合、Yが損をすることになります。

②案では、不動産を除く遺産の内容によっては、法定相続分通りで分割できないこともあります。

③案では、競売終了時まで遺産の総額が確定しない難点があります。

 実際に上記分割方法について争いとなり、家裁の分割方法と高裁の分割方法が異なった事例がありますのでご紹介します。

(原審)東京家裁平成27年3月27日審判

 上記①案を採用しました。

「各当事者の法定相続分相当額から上記アで取得する遺産の合計額を控除した額は、計算表のD欄記載のとおりであり、それが本件土地(2)の評価額に占める割合は、申立人について0.1、相手方Fについて0.9であるから、競売代金から競売費用を控除した残額を申立人に10分の1、相手方Fに10分の9あて分配するのが相当である。」

(抗告審)東京高裁平成28年8月12日判決

 上記②案を採用しました。

「本件土地(1)及び(2)、本件借地権並びに本件建物(以下「本件不動産」という。)については、相手方は取得を希望しておらず、抗告人も換価分割を希望しているから、本件不動産はいずれも競売により換価分割するのが相当である。そして、競売による換価分割の場合は、売却代金から競売費用を控除した残額(以下「競売取得額」という。)が評価額とは異なるものとなることが避けられないから、当事者間の公平を図るためには、できる限り、競売取得額を各当事者の具体的相続分の割合に応じて分配するのが相当である。」

コメント

 不動産を競売に付した場合、評価額より低額で落札されることも多く、その場合、競売代金から多く分配された相続人は損をすることになります。そのため、上記高裁は②案を採用したのです。

(弁護士 井上元) 

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