相続分譲渡が特別受益に該当するとした東京高決H29.7.6

 亡父の遺産分割において母からその法定相続分1/2を譲り受けたことが、母の相続に際し、特別受益とされた事例があります。めずらしい裁判例ですのでご紹介します。

東京高裁平成29年7月6日決定

事案の概要

①父A、母B、子X1、子X2、子Yがいる。

②父の相続に際し、母Bは法定相続分2分の1をYに無償で譲渡した。

③その後、母Bは死亡したが、B固有の遺産はなかった。

④そこでXらは、BのYに対する上記法定相続分の譲渡が特別受益に該当すると主張して、遺留分減殺請求訴訟を提起した。

決定の内容

 被相続人母からYに対する相続分の譲渡によって、積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する譲渡人(被相続人母)の割合的な持分が譲受人Yに移転し、Yは、これによって増加した相続分を前提に遺産分割を請求し、参加できることとなったのであるから、相続分の譲渡は財産的価値を有し、民法549条所定の財産に該当するといえる。そして、本件相続分譲渡は無償でされたから、これは同条の贈与に該当すると認められる。また、本件相続分譲渡の目的は、総額9057万1787円の亡父の遺産の2分の1にあたる持分であるから、相当高額な贈与であって民法903条所定の生計の資本としての贈与に該当する。

 以上によれば、本件相続分譲渡は、生計の資本としての贈与として特別受益(民法903条)に該当し、民法1044条により遺留分算定の基礎となり、遺留分減殺の対象となる贈与と認められる。

コメント

 相続分の譲渡が特別受益に該当するとされた前例は見当たらず、上記東京高決は極めてめずらしいものです。

 控訴審でYは、①Yは亡父の財産を亡父から直接相続したものであって、母から具体的財産を贈与されたものではない、②相続分の譲渡は税法上も贈与とはされていない、等と主張しましたが、全て排斥されました。

追記

 本論点につき、最高裁平成30年10月19日判決は、相続分の譲渡は特別受益に該当すると判断しました。

(弁護士 井上元)

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