複数の日付が記載されている遺言は有効か

  被相続人が、自らの財産を処分するために作成するのが遺言ですが、この遺言の要件の一つに「日付」の記載があります。日付けの記載がなかったり、不明確であったものは、せっかくの遺言は無効になってしまう可能性が高いです。ですから、遺言の作成は慎重に行う必要があるのですが、遺言の中には特定の「日付」の記載があるがそれが複数記載されている場合もあり、その効力が問題となることがあります。

  東京高裁昭和55年11月27日判決(判時990号195頁)は、第1葉部分と第2葉から第4葉部分の2つの日付けの記載がある遺言についての事案で、2つの日付けの記載のある遺言の効力が争われました。遺言は、全文を同一の日に記載していないこと、及び二つの日付がありながらどの部分が何時記載されたかが明らかでないことを理由として、自筆証書遺言の方式に違背した無効なものであるという主張に対し、上記東京高裁は遺言を有効としました。
 具体的には、まず、第1葉は、全文が毛筆による墨書であつて末尾に「昭和四十六年拾月十八日」という日付の記載と署名押印があるところから、全体が同日記載されたものと認められるとしました。そして、第2ないし第4葉は、いずれも同じ横書きの書簡用紙に大部分は黒インクのペン書き、一部はブルーブラックインクのペン書き及び黒色ボールペン書きで、推定相続人全員への推定遺産の配分が記載され、これに引続き第四葉の末尾に毛筆墨書で「 昭和47年11月10日」と記載と署名押印があるが、その全体が相当の期間をかけて練り上げられたものであり、その間一応得られた成案に立脚して先ず黒インクのペン書きで記載し、これに補充、訂正を加え、それ以上改めるべき点はないとして最終的な遺言書とすることを決断したときに末尾の墨書部分が付加されたものと推定されるとし、どの部分が具体的に何年何月何日に記載されたかを厳密に確定することはできないが、墨書以外の部分も墨書の日付の日までには記載されていて、これがその日に遺言内容として確定されたものと認めました。

 上記東京高裁は、第1葉部分と第2葉から第4葉部分が作成された日を上記のように認定したうえで、以下のように述べました。
 「民法968条は数次にわたり日を異にして自書した文書をあわせてこれを一つの遺言にまとめ、とりまとめた日をもって遺言の日付とすることを禁止するものとは考えられないから、右のように一通の自書した文書に補充、訂正を加えてゆき、これを仕上げた段階でその日を日付として遺言書とすることも当然許されるものというべきである。従って本件遺言は、具体的な財産の配分を別紙に譲り相続人間の和合と協力を要請した第一葉の遺言と、具体的な財産の配分を定めた第二葉ないし第四葉の遺言との二つの部分から成るが、その間に何ら牴触するところはなく、夫々の内容及びそれが一綴りとなつている状態から考えれば、右両者は、全体として一個の遺言を形成しているものというべく、この場合、本件遺言の日付は、特段の反証がなければ、後の日付である昭和47年11月10日であると認めるべきである」としました。(弁護士 中村友彦)

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