遺留分減殺請求と権利濫用

   被相続人が、遺言で相続財産の処分を決めたとしても、必ずしもそれで問題が生じないというわけではありません。遺留分を侵害したとして、遺留分権利者である相続人から、遺留分減殺請求がなされることがあります。遺留分減殺請求がされると、遺言で相続財産を承継した相続人等は、ケースによってはかなり困った事態になることがあります。預金等が相続財産の大半であれば問題はないのですが、居住用不動産等が主であれば、遺言により相続財産を取得した相続人は、当該不動産を売り払わないといけないといった事態になります。

 遺留分は権利として法律上認められたものですが、如何なる場合でも行使することが認められるのか、それとも事情によっては制限されることはないかが問題となります。

1 東京高裁平成4年2月24日判決(判時1418号81頁)

     東京高裁平成4年2月24日判決は、3人の子供のうち一人に全財産を相続させる公正証書遺言が作成された事案ですが、遺留分減殺請求権も私法上の権利であるから、民法の一般原則に従い信義誠実に行使することを要するとしたうえで、他の2人からの遺留分減殺請求を、信義誠実の原則に反し、権利濫用に当たるとして認めませんでした。上記東京高裁判決は、以下のような事情を考慮しました。 

①被相続人と遺留分減殺された相続人が同居することになったのは、遺留分減殺請求した者達の事情と強い要望であったこと。遺留分減殺請求した者達は、被相続人の扶養、看護を直接に担当する苦労を免れ、身体的、精神的及び経済的利益ないし自由を享受することができた。

②遺留分減殺された相続人は、長年被相続人を扶養・看護し、住居の修繕費を負担する等しており、それ以外にも被相続人と同居するために賃借権を放棄するなどしていた事情。

③家庭裁判所の許可の審判の申立てがなされていたとすれば、当然にその許可がなされるべき事案であり、家庭裁判所の許可を得てはいないが、遺留分減殺請求した者達は、本件土地について権利を主張しない旨の書面に署名押印をしたこと。

④本件土地のうえに、被相続人の看護を条件として、遺留分減殺請求された者の夫が家を建てることを、遺留分減殺請求した者達が賛成しており、その賛成がなければ、本件土地の上に家を建てなかったこと

⑤遺留分請求が認容されると、本件目的物の価額を弁償することによってその返還義務を免れるだけの資力はないから、結局、本件土地及び本件土地上に建築した本件建物の各所有権を処分せざるを得ないことになり、予期しなかった多大の損害を被ることになることは必定であること

2 東京地裁平成11年8月27日判決(判タ1030号242頁)

    裁判上の和解において遺留分の放棄を約したにもかかわらず、家庭裁判所の許可を得ていなかった事案です。上記東京地裁は、「家庭裁判所の許可の手続が履践されていないことを奇貨として、遺留分を行使することを認めるならば、本件和解の合意に反し、原告らに二重取りを許すことになり、著しく信義に反することになる。」として、遺留分減殺請求を認めませんでした。(弁護士中村友彦) 

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