カーボン紙を用いて記載された自筆証書遺言は「自書」の要件を満たすか

   自書とは、自書能力のある遺言者が筆跡により遺言者を確定できる程度に自らの身体を使用して筆記することです。この自書の要件を満たさなければ、自筆証書遺言は無効になり、せっかく被相続人が遺言書を作成したのに無駄になってしまいます。

 では、他人が書いた下書きを上からなぞって作成するようなケース、カーボン紙を用いて複写して自筆証書遺言を作成するといった場合には、自書と言っていいのでしょうか。

1 最高裁平成5年10月19日判決(判タ832号78頁)

   最高裁平成5年10月19日判決では、カーボン紙を用いて作成しても、民法968条1項の自書の要件に欠けるところはないとしました。

 上記最高裁判決、原審である仙台高裁平成4年1月31日判決(家月46巻4号32頁)原々審である仙台気仙沼支部平成2年10月4日判決(家月46巻4号37頁)は、いずれも自書の要件を認めており、その理由は概ね以下の通りです。 

(理由)

  自書については記載する方法手段に特別の制限はなく、カーボン紙による複写は本人の筆跡が残り、その意思に基づく記載かどうかの判定は比較的容易であると考えられ、かつ、加除変更の危険も少ないと考えられるためです。

2 学説

     自書であることを否定する説もありますが、自書であることを認める学説では、上記最高裁判決等の理由以外に、以下のような理由を挙げて肯定しているものもあります。

(理由)

  カーボン複写は、電子複写の場合と異なり、自筆文書作成時と複写文書作成時の時間的間隔がなく、筆記者が自らの体を使って筆記した時に同時に作成します。したがって、第三者の作為可能性が通常の自筆証書遺言の場合と何ら差異はなく、筆跡が残り、カーボンというインクを用いて直接書いたとも言え、遺言者の真意の確保という「自書」の要求の趣旨実現を妨げるものではないためです。カーボン紙を使用しなくても自筆証書遺言を筆跡を真似て偽造することもでき、異なる扱いにする必要はなく、自書の要件としたうえで、偽造の有無の点で問題にすれば足りるということです。 

   なお、上記最高裁判決以降に出た東京地裁平成9年6月24日判決(判時1632号59頁)では、カーボン紙を用いて作成され遺言の偽造について特有の問題点を指摘しています。(弁護士中村友彦) 

 

 

相続の法律相談ご予約

フリーアクセス:0120-967-330(御予約受付:平日 午前9:30~12時、午後1時~ 5:30)

相談予約で夜間・土曜面談対応いたします。

メールでのご予約は24時間受付

土曜相談会のご案内

毎月1回、土曜日に相談会を行います。

初回1時間無料・予約制

詳細はここをクリックしてください

OSAKAベーシック法律事務所

御堂筋線・京阪電鉄淀屋橋駅1分

〒541-0042
大阪市中央区今橋 4 丁目 3 番 6 号
淀屋橋 NAO ビル 3 階

交通至便 淀屋橋駅1分

アクセスマップはこちら

専門家ネットワーク

弁護士
税理士、司法書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、その他の専門家

Q&A 任意後見入門



任意後見契約締結から終了まで分かりやすく解説しています!