遺留分減殺請求権の時効(遺留分減殺請求の対象物を譲り受けた者に対する)

   被相続人が遺言で、自分の財産の処分方法を定めたとしても、相続人の遺留分を侵害する贈与等があった場合、遺留分権利者たる相続人は、受贈者に対し、遺留分減殺請求をすることができます。この遺留分減殺請求権は、いつまでも行使できるわけではなく、相続の開始及び減殺請求すべき贈与があったことを認識してから1年の時効による制限があります。遺留分減殺請求は、受贈者に対して行うのが一般的ですが、受贈者から遺留分減殺の目的物を譲り受けた者に対しても行うことができる場合があります。

1 受贈者からの譲受人への遺留分減殺

  民法1040条は、譲受人が譲渡の時において、遺留分権利者に損害を加えることを知っていた時は、譲受人に対し遺留分減殺請求権を行使することを認めています。では、この譲受人に対する遺留分減殺請求権はいつまで行使できるのでしょうか。

2 最高裁昭和35年7月19日判決(民集14巻9号1779頁)

     最高裁昭和35年7月19日判決は、受贈者から贈与の目的物を譲り受けた者に対する遺留分減殺請求権の1年の消滅時効の期間は、遺留分権利者が相続の開始と贈与のあったことを知った時から起算するとしている原審の判断を正当としました。原審は、仙台高裁昭和33年2月28日判決(民集14巻9号1802頁)です。相続の開始と贈与のあった時点で、遺留分を侵害された相続人は遺留分減殺請求をできたわけですから、そこから1年間行使を怠った者を保護する必要はありません。また、受贈者に遺留分減殺請求できないにもかかわらず、譲受人に対してはできるというのは不適当ですし、上記最高裁の判断は適切だと思われます。(弁護士中村友彦)

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