遺留分減殺請求に対して取得時効を援用できるか

    被相続人が亡くなるよりもずっと以前に、相続人の一人が生前贈与を受けていた場合に、その生前贈与の内容次第では、遺留分を有する相続人から、自分の遺留分が侵害されたとして遺留分減殺請求がなされることがあります。生前贈与を受けていた相続人としては、長い間使用していたのであり、遺留分減殺請求を受けるのは納得できないという思いが強いでしょう。

 時効取得に関して最高裁昭和42年7月21日判決(判時488号21頁)が、自分の所有物であっても時効取得を援用できるとしていますので、遺留分減殺請求を受けた場合にも取得時効を援用して、遺留分減殺請求を退かせることができないかが問題となります。

1 最高裁平成11年6月24日判決(判時1687号70頁)

  最高裁平成11年6月24日判決は、遺留分減殺請求に対する取得時効の援用の可否に判断しました。

(結論)

受贈者が、生前贈与に基づいて目的物の占有を取得し、民法162条所定の期間、平穏かつ公然にこれを継続し、取得時効を援用したとしても、それによって、遺留分権利者への権利の帰属が妨げられるものではないと解するのが相当であるとしました。

(理由)

 ①民法が、遺留分減殺によって法的安定が害されることに対し一定の配慮をしながら、遺留分減殺の対象としての要件を満たす贈与については、それが遺留分減殺請求の何年前にされたものであるかを問わず、遺留分減殺の対象となるものとしていること

 ②占有を継続した受贈者が生前贈与の目的物を時効取得し、遺留分減殺請求によっても受贈者が取得した権利が遺留分権利者に帰属することがないとするならば、遺留分を侵害する生前贈与がされてから被相続人が死亡するまでに時効期間が経過した場合には、遺留分権利者は、取得時効を中断する法的手段のないまま、遺留分に相当する権利を取得できない結果となること

 上記最高裁判決は、①②のようなことを考慮して、受贈者は、遺留分減殺請求がされれば、贈与から遺留分減殺請求までに時効期間が経過したとしても、自己が取得した権利の遺留分を侵害する限度で遺留分権利者に帰属することを容認すべきであるとするのが、民法の趣旨としました。

    通常は、生前贈与から長い期間が経過しているような場合だと、遺留分権利者が生前贈与の事実を立証するのは難しいでしょう。しかし、遺留分減殺請求を巡って相続人間で紛争になる可能性はありますから、生前贈与をする被相続人は、他の相続人のことも配慮しておくべきです。(弁護士中村友彦)

相続の法律相談ご予約

フリーアクセス:0120-967-330(御予約受付:平日 午前9:30~12時、午後1時~ 5:30)

相談予約で夜間・土曜面談対応いたします。

メールでのご予約は24時間受付

土曜相談会のご案内

毎月1回、土曜日に相談会を行います。

初回1時間無料・予約制

詳細はここをクリックしてください

OSAKAベーシック法律事務所

御堂筋線・京阪電鉄淀屋橋駅1分

〒541-0042
大阪市中央区今橋 4 丁目 3 番 6 号
淀屋橋 NAO ビル 3 階

交通至便 淀屋橋駅1分

アクセスマップはこちら

専門家ネットワーク

弁護士
税理士、司法書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、その他の専門家

Q&A 任意後見入門



任意後見契約締結から終了まで分かりやすく解説しています!