葬儀の費用として相続財産を使用した場合、相続の承認にあたるか

  相続人は相続が開始しても必ずしも、被相続人の財産を相続しなければならないわけではありません。相続財産の内容しだいでは、相続放棄や限定承認といったことが可能です。

  しかし、相続財産を使用したりしているにもかかわらず、後になって相続放棄等を認めると相続債権者などが害されることもありますので、民法921条1号は相続人が相続財産の全部又は一部を処分した時は、単純承認したものとして、被相続人の権利義務を承継するものとしています(民法920条)。

    問題は、921条1号の『処分』というのが、どういうものであるかで争いがあります。その中の一つが、葬儀費用を相続財産から支出した場合です。

1 大阪高裁昭和54年3月22日決定(家月31巻10号61頁)

  大阪高裁昭和54年3月22日決定は、民法921条について「単純承認の擬制も相続人の意思を擬制する趣旨であると解すべきである。したがって、とくに遺産が債務のみの場合には相続人が通常この債務を承継してその支払を引受ける自発的意思を有することは稀なことであるから、その債務承継の意思の認定ないし擬制を行なうについては、特に慎重でなければならない。」と判示しました。

  そのうえで、上記大阪高裁決定は、本件相続は、相続財産として積極的財産が皆無で、消極財産たる債務のみが存在する場合であると認定し、被相続人の僅かな所持金に自己の所持金を加えた金員を加えて、遺族として当然なすべき被相続人の火葬費用ならびに治療費残額の支払に充てたのは、人倫と道義上必然の行為であり、公平ないし信義則上やむを得ない事情に由来するものであり、これをもって、債務承継の意思を明確に表明したものとはいえないし、民法921条1号所定の「相続財産の一部を処分した」ということはできないとしています。

 上記裁判所のとおり相続財産の内容、葬儀費用の支出の程度によっては、921条1号の処分に該当しないと判断されるケースもありますが、通常の場合には、葬儀費用に相続財産を充てるのは避けた方がよいと思われます。(弁護士中村友彦)

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