特別受益~被相続人名義の土地の上に相続人が建物を所有している場合にどうなるか~

  相続人の一人が被相続人名義の土地の上に、建物を所有しており、被相続人との間で使用貸借契約を結んでいる場合(黙示によるものも含む)、相続開始後も当該相続人は無償で使用することが可能です。

 しかし、相続人名義の建物がある以上、相続財産で被相続人名義の土地の価値は、更地の場合に比べてかなり安いものになってしまいます。他の相続人としては不公平を感じることもあると思います。

 このような、使用貸借があるために相続財産である土地に建物があり、土地の評価が下がっている場合、建物を所有している相続人は何ら影響を受けないのでしょうか。

1 東京地裁平成15年11月17日判決(家月57巻4号67頁)

  東京地裁平成15年11月17日判決は、遺留分減殺請求がなされましたが、使用貸借権の贈与として特別受益があるので、これを持ち戻せば遺留分の侵害はないとして請求を棄却した事案です。

(1)使用貸借権の価値の評価の方法

   上記東京地裁判決は、「遺留分侵害額算定に当たり、本件土地の使用貸借権の価値をどのように評価するのが相当であるかということが問題となる。」として、持ち戻しの評価をどのようにするかを問題点にあげました。

①使用期間中の賃料相当額を加算するか

  使用期間中の賃料相当額まで加算すべきとの被告の主張に対し、「使用期間中の使用による利益は,使用貸借権から派生するものといえ,使用貸借権の価格の中に織り込まれていると見るのが相当であり,使用貸借権のほかに更に使用料まで加算することには疑問があり,採用することができない。」として否定しました。

②使用貸借権の価値

  原告が被相続人から受けた利益は、「本件土地の使用貸借権の価値と解するのが相当」として、鑑定の結果を考慮し、更地価格の15%を認定しました。

(2)特別受益に当たるか

    上記東京地裁は、原告が受けた利益について、原告の生活の援助のために本件土地を原告のアパート経営のために使わせようとしていたことなどを考慮して、「被相続人と原告との間の本件土地の使用貸借契約の締結(使用貸借権の贈与)は,まさに原告の生計の資本の贈与であるといえ,特別受益に当たるというべき」としました。

2 持ち戻しの免除

       使用貸借権の贈与が特別受益に当たるとしても、直ちに持ち戻しが認められるとは限りません。被相続人の近所に住み面倒を見ていたという事情等があれば、持ち戻しの免除の黙示の意思表示があったとされる可能性もあります。

       使用貸借を締結している被相続人は、後日相続人間で揉めないように、持ち戻し免除の意思の有無について明確にしておくべきでしょう。(弁護士中村友彦)

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