特別受益の存在を確認する訴えをすることはできるか

  相続人の一人が、他の相続人と異なって、被相続人から金銭等を贈与を受けていることがあった場合、贈与を受けていない相続人にとっては、その事実を無視することができず、当該贈与を考慮して遺産分割したいと思うことが多いでしょう。このような場合の不公平を是正する制度として、特別受益の持戻しの制度がありますが、贈与を受けた相続人が贈与の事実を認めない可能性もありますし、贈与を受けたとしても必ずしも特別受益の要件に当てはまるわけでもありません。

 そこで、遺産分割の前提として、特別受益の存在について裁判で確定させることはできないのでしょうか。

1 最高裁平成7月3月7日判決(民集49巻3号893頁)

  最高裁平成7年3月7日判決は、特定の財産が特別受益財産であることの確認を求める訴えは、確認の利益を欠くものとして不適法であるとして、遺産分割の前提として特別受益の存在を裁判で争うのを認めませんでした。

(1)いつの権利の確認か

   「特別受益財産の遺贈又は贈与を受けた共同相続人に特別受益財産を相続財産に持ち戻すべき義務が生ずるものでもなく、また、特別受益財産が相続財産に含まれることになるものでもない。そうすると、ある財産が特別受益財産に当たることの確認を求める訴えは、現在の権利又は法律関係の確認を求めるものということはできない。」として、過去の権利関係の確認であるとしました。

(2)確認の利益があるか

      その上で上記最高裁判決は、「過去の法律関係であっても、それを確定することが現在の法律上の紛争の直接かつ抜本的な解決のために最も適切かつ必要と認められる場合には、その存否の確認を求める訴えは確認の利益があるものとして許容されるが、」として、以下の点を述べて確認の利益を否定しました。

①ある財産が特別受益財産に当たるかどうかの確定は、具体的な相続分又は遺留分を算定する過程において必要とされる事項にすぎず、しかも、ある財産が特別受益財産に当たることが確定しても、その価額、被相続人が相続開始の時において有した財産の全範囲及びその価額等が定まらなければ、具体的な相続分又は遺留分が定まることはないから、それらの点を確認することが、相続分又は遺留分をめぐる紛争を直接かつ抜本的に解決することにはならない。

②また、ある財産が特別受益財産に当たるかどうかは、遺産分割申立事件、遺留分減殺請求に関する訴訟など具体的な相続分又は遺留分の確定を必要とする審判事件又は訴訟事件における前提問題として審理判断されるのであり、右のような事件を離れて、その点のみを別個独立に判決によって確認する必要もない。

(3)確認の利益とは

   訴訟を行う意味がないものや必要性がないものを排除するために求められる、請求棄却等の本案判決をするための訴訟要件です。確認の利益がなければ、却下判決になります。(弁護士中村友彦)

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