相続財産に含まれる金銭は当然分割になるか

  相続財産が預金として被相続人の口座にある場合、金銭債権ですから、遺産分割をへるまでもなく当然に分割されます。では、金銭の場合はどうなるのでしょうか。金銭も預金も一般的なイメージでは違いはないでしょうが、預金は債権という形に対し、金銭は有体物(形あるものとして存在している)という点で異なります。通常、補相続人は預金として管理しているのが大半でしょうが、人によっては箪笥預金という形や、貸金庫に保管しているということがありえますので問題になります。

1 最高裁平成4年4月10日判決(判時1421号77頁)

  共同相続人は、遺産である金銭を保管している他の相続人に対し遺産分割前に相続分相当額の金銭を要求できるかについては、最高裁平成4年4月10日判決は否定しました。具体的には、「相続人は、遺産の分割までの間は、相続開始時に存した金銭を相続財産として保管している他の相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払を求めることはできないと解するのが相当である」としました。

   上記最高裁の事案は、相続開始後に金銭が銀行に預金されていますが、金銭債権として当然分割とはしていません。遺産の特定不動産を売却すると、当該不動産は遺産分割の対象からはずれ、各共同相続人が、持分に応じて当然分割された代金債権を取得としている判例との整合性も気になりますが、結局、「管理のため」という特殊性によるものであると言わざるを得ないと思います。

   

2 金銭は占有あるところに所有ありとする考えとの関係

  法律的には、金銭というものは占有している人に所有権があるとされます。金銭を占有している人に対し、金銭を渡すように請求できる人は債権を持っているだけです。この考え方と、金銭が当然分割されず、遺産分割の対象になる財産として存在していることは両立するのでしょうか。金銭を占有している相続人に所有権が移っているのであれば、有体物としての相続財産である金銭は存在しないことになります。

  しかし、遺産分割まで金銭を保管している相続人は、相続開始時に存在した金銭を相続財産として保管している者であって、自分の者として保管しているのではありません。「金銭は占有あるところに所有ありとする」考えを示したのは、最高裁昭和39年1月24日判決(判時365号26頁)ですが、このような場合、上記最高裁判決のいう特段の事情に当たると考えられます。(弁護士中村友彦)

(最高裁昭和39年1月24日判決の判示)

「金銭の所有権者は、特段の事情のない限り、その占有者と一致すると解するべきであり、また金銭を現実に支配して占有する者は、それをいかなる理由によって取得したか、またその占有を正当づける権利を有するかに否かに拘わりなく、価値の帰属者即ち金銭の所有者と見るべきものである」

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