葬儀費用は誰が負担するのか?

1 問題の所在

 相続が発生した後、遺産分割に際して、葬儀費用の負担をめぐって争いとなることもあります。多くの事案では、相続人の1人が「自分が葬儀費用を支払ったから、相続財産からその分を取得できるはずだ」と主張するのです。

 遺産分割調停においては、相応の葬儀費用であれば、相続財産から支払われることにつき合意されることが多いものと思われますが、相続人間における対立が先鋭化すると、このような合意も難しくなり、法律上、誰が葬儀費用を負担すべきかが問題となるのです。

2 葬儀費用とは何か?

 まず、葬儀費用とは何かを確定する必要があります。この点、東京地裁昭和61年1月28日判決は、死者をとむらうのに直接必要な儀式費用をいうものと解するのが相当であり、棺柩その他葬具・葬式場設営・読経・火葬の費用、人夫の給料、墓地の代価、墓標の費用等が含まれるとしています。また、名古屋高裁平成24年3月29日判決は、葬儀費用とは、死者の追悼儀式に要する費用及び埋葬等の行為に要する費用(死体の検案に要する費用、死亡届に要する費用、死体の運搬に要する費用及び火葬に要する費用等)と解されるとしています。

 ただし、上記東京地裁昭和61年1月28日判決は、法要等の法事、石碑建立等の費用は葬儀費用には含まれないと解しており、これらの儀式の主宰者が負担すべきことになります。

 したがって、葬儀費用の負担者をめぐる争いは、上記の葬儀費用についてのことになります。

3 相続人が負担すべきとする裁判例

 津地裁平成14年7月26日判決は、相続人でない者が葬儀費用を負担した場合において、相続人は、葬儀及び納骨などの諸費用のうち死者を弔うのに直接必要な儀式費用を相続分に応じて分担すべきであるとしました。

4 葬儀の主宰者が負担すべきとする裁判例

 一方、東京地裁昭和61年1月28日判決、東京地裁平成6年1月17日判決、名古屋高裁平成24年3月29日判決などは、葬儀を主宰した者(通常は喪主)が負担すべきであるとしています。

 ただし、形式的には喪主となったものの、他の相続人と相談のうえ葬儀が行われたような場合には全員の負担となるでしょう。

 また、上記名古屋高裁平成24年3月29日判決は、埋葬等の行為に要する費用については亡くなった者の祭祀承継者が負担するものと解するのが相当であるとしています。

5 判断の基準

 上記のとおり、誰が葬儀費用を負担すべきかについては明確な基準はありませんが、葬儀の主宰者は誰だったか、主宰者が単独で葬儀内容を決定し手配したのか、他の相続人との協議のうえ葬儀内容を決定し手配したのか、主宰者以外の相続人は香典を支払ったか否か、などの事情により決することになりそうです。

(弁護士 井上元)

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