遺産分割協議と詐害行為

 民法424条は「債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。」と規定しています(詐害行為取消権)。例えば、一部の債権者に対して既存の債務を担保するために抵当権を設定する行為は詐害行為に当たり、債権者の詐害行為取消権の行使により取り消されることになります。

 それでは、遺産分割協議は詐害行為取消の対象となるのでしょうか?

 この問題につき判断した最高裁判例として最高裁平成11年6月11日判決があります。この事案は次のようなものです。

①AはXに対し債務を負っていた。

②Aの夫が死亡し、妻Aと子Bと子Cが相続人となった。

③相続財産として借地権付建物があったところ、Aは一切相続せず、BとCに財産を相続させる旨の遺産分割協議を行い、BとCが相続した旨の相続登記を行った。

④Xは上記遺産分割協議は詐害行為に当たると主張して、BとCに対し、上記遺産分割協議を取消し、持分各6分の1についてAに対する所有権移転登記手続を求める訴えを提起した。

 上記最高裁判決は、この点、次のように述べて詐害行為取消権の行使を認めました。

「共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となり得るものと解するのが相当である。けだし、遺産分割協議は、相続の開始によって共同相続人の共有となった相続財産について、その全部又は一部を、各相続人の単独所有とし、又は新たな共有関係に移行させることによって、相続財産の帰属を確定させるものであり、その性質上、財産権を目的とする法律行為であるということができるからである。そうすると、前記の事実関係の下で、被上告人は本件遺産分割協議を詐害行為として取り消すことができるとした原審の判断は、正当として是認することができる。」

 ただし、遺産分割においては、寄与分や特別受益などの具体的な事情により法定相続分が修正される可能性があります。上記の事案では、Aが生前贈与を受けていたり、BやCに寄与分が認められる場合、Aは法定相続分とおり遺産を取得できるとは限りません。

 この点、原審の東京高裁平成10年1月22日判決は次のように判示しており参考となります。

「一般論としては、遺産分割は、遺言、寄与分及び特別受益等を勘案して決定されるもので、これにより具体的相続分が法定相続分とは異なることがあるのは控訴人らの主張するとおりであるが、そうであるからといって、遺産分割協議は詐害行為取消権の対象とはならないと解すべき理由はない。ただ、遺言、寄与分及び特別受益等の具体的な事情によっては、当該遺産分割協議が詐害行為になるとは認められない場合もあり得るというにすぎないものというべきである。ところが、本件においては、遺言、寄与分及び特別受益についての具体的な主張・立証はなんらないのであるから、これによって本件遺産分割協議が前記のとおり詐害行為であると認めることを妨げられるものではないといわなければならない。」

相続の法律相談ご予約

フリーアクセス:0120-967-330(御予約受付:平日 午前9:30~12時、午後1時~ 5:30)

相談予約で夜間・土曜面談対応いたします。

メールでのご予約は24時間受付

土曜相談会のご案内

毎月1回、土曜日に相談会を行います。

初回1時間無料・予約制

詳細はここをクリックしてください

OSAKAベーシック法律事務所

御堂筋線・京阪電鉄淀屋橋駅1分

〒541-0042
大阪市中央区今橋 4 丁目 3 番 6 号
淀屋橋 NAO ビル 3 階

交通至便 淀屋橋駅1分

アクセスマップはこちら

専門家ネットワーク

弁護士
税理士、司法書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、その他の専門家

Q&A 任意後見入門



任意後見契約締結から終了まで分かりやすく解説しています!