熟慮期間経過後の相続放棄~先順位の相続人がいると誤信した場合

 相続放棄(民法915条1項)の期間は相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から進行しますが、先順位の相続人がいると誤信していた場合はどうなるのでしょうか?この点について判断した裁判例がありますのでご紹介します。

仙台高裁昭和59年11月9日決定

【事案の概要】

 被相続人の女性は先妻との間に子供がいる男性と結婚したが、その子供たちとは養子縁組を行わなかった。被相続人が死亡し、その兄弟姉妹が相続人となったが、兄弟姉妹は養子縁組をしていない子供たちが相続人になるものと誤信し、3ヶ月以内に相続放棄の手続をとらず、同期間の経過後に相続放棄の手続をとった。家庭裁判所は相続放棄申述を不適法として却下したため抗告がされた。

【決定の要旨】

1 民法915条1項所定のいわゆる熟慮期間は、原則として、相続人が、相続開始の原因たる事実及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時から起算すべきものであるが、相続開始原因たる被相続人の死亡等の事実を知っていても、自己の先順位者があると誤信していた場合には、未だ自己が法律上相続人となった事実を知ったとはいいえないと解すべきである。

2 兄弟姉妹は、Aらが被相続人の養子であると考えていたわけではなかった、すなわち法律事実の認識に錯誤があったわけではなかったが、法律の誤解により、自己より先順位の相続人がいるものと誤信していたのであり、この誤信に気付いたのは・・・であるから、民法915条1項所定の3ヶ月の熟慮期間は右の各時点から起算されることになるというべきである。前認定の事実関係に徴するとき、兄弟姉妹がこれに関する親族法・相続法を誤解したことを目して許すべからざるものとするまでの必要はないものと考える。

コメント

「法の不知はこれを許さず」というのが原則です。しかし、上記の事案では、被相続人は夫の先妻との子供とは養子縁組をしておらず、決定でも指摘されているとおり、被相続人の兄弟姉妹は法律を誤解していたに過ぎません。そこで、相続放棄の申述を受けた家庭裁判所はこれを却下したのですが、高裁は、この相続放棄を適法としたのです。

 尚、上記事案は、後から借金が出てきたという事案ではなく、相当額の遺産が残されていた事案です。

(弁護士 井上元)

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