同族会社の株式を特定の相続人に取得させた裁判例

遺産分割の基準

 遺産分割調停や審判において、複数の相続人が特定の遺産の取得を希望することがあります。特に、不動産や同族会社株式について取り合いになることが多いようです。収益物件や被相続人が経営していた同族会社の株式については、各相続人の思い入れもあり、また、将来の収益への期待もあるからでしょう。

 調停での話し合いがつかない場合、審判により裁判官が決めることになりますが、その基準として、民法906条で、「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」と規定されているだけであり、状況に応じて裁判官の広い裁量に委ねられているといえるでしょう。

東京高裁平成26年3月20日決定

 東京高裁平成26年3月20日決定は、同族会社の株式を法定相続分に応じて各相続人に取得させるとして原審判を、次のように述べて、相続人の1人に他の相続人らに対して代償金を支払わせることによって単独取得させました。

「(当該会社は)その経営規模からすれば、経営の安定のためには、株主の分散を避けることが望ましいということができる。このこは、会社法174条が、株式会社はその譲渡制限株式を取得した者に対して自社に当該株式を売り渡すことを請求できる旨を定款で定めることができると規定し、また、中小企業における経営の承継の円滑化を図ることを目的として制定された中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律が、旧代表者の推定相続人は、そのうちの1人が後継者である場合には、その全員の合意をもって、書面により、当該後継者が当該旧代表者からの贈与等により取得した株式等の全部又は一部について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しないことを合意し、家庭裁判所の許可を受けた場合には、上記合意に係る株式等の価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しないものとすると規定していることなどに表れている。これらの規定は、中小企業の代表者の死亡等に起因する経営の承継がその事業活動の継続に悪影響を及ぼすことを懸念して立法されたものであり、そのような事情は、民法906条所定の「遺産に属する物又は権利の種類及び性質」「その他一切の事情」に当たるというべきであるから、本件においても、これを考慮して遺産を分割するのが相当である。」

自分が取得すべき事情の主張・立証の必要性

 上記裁判例は、同族会社の株式の場合ですが、他の相続人と特定の遺産の取り合いになった場合、自分が取得すべきであるとする理由をできるだけ詳細に主張、立証する必要があります。

(弁護士 井上元)

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