相続分譲渡と遺産確認の訴えの当事者適格

相続分の譲渡とは?

 相続分の譲渡とは、相続人が、積極財産のみならず消極財産も含めた包括的な相続財産全体に対して自己が有する割合的な持分又は法律上の地位を他に譲渡するというものです。相続分の譲渡には遡及効はなく、譲渡の時に効力が生じます。また、譲渡の当事者間では相続債務も移転しますが、債権者の同意がなく行われるため、譲渡人は債権者に対する関係では債務を免れるものではありません。

遺産確認の訴えとは?

 遺産確認の訴えはとは、共同相続人間で遺産帰属性について争いがある場合に、当該財産が遺産に属すると主張する共同相続人が、これを否定する共同相続人を被告として、当該財産が遺産に属することの確認を求める訴えです。

 遺産確認の訴えはにつき、最高裁昭和61年3月13日判決は、これを適法とし、また、最高裁平成元年3月28日判決は、共同相続人全員が当事者として関与し、その間で合一にのみ確定することを要する固有必要的共同訴訟と解すべきであるとしています。

相続分の譲渡が行われた場合の遺産確認の訴えの当事者は誰か?

 それでは、相続分を譲渡した相続人は遺産確認の訴えの当事者となるのでしょうか?

 この点、最高裁平成26年2月14日判決は次のように判示して、共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は遺産確認の訴えの当事者適格を有しないとしました。

「遺産確認の訴えは、その確定判決により特定の財産が遺産分割の対象である財産であるか否かを既判力をもって確定し、これに続く遺産分割審判の手続等において、当該財産の遺産帰属性を争うことを許さないとすることによって共同相続人間の紛争の解決に資することを目的とする訴えであり、そのため、共同相続人全員が当事者として関与し、その間で合一にのみ確定することを要する固有必要的共同訴訟と解されているものである。」

「しかし、共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は、積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する割合的な持分を全て失うことになり、遺産分割審判の手続等において遺産に属する財産につきその分割を求めることはできないのであるから、その者との間で遺産分割の前提問題である当該財産の遺産帰属性を確定すべき必要性はないというべきである。そうすると、共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は、遺産確認の訴えの当事者適格を有しないと解するのが相当である。」

相続分譲渡と遺産分割手続

 なお、平成25年1月に施行された家事事件手続法43条1項では「家庭裁判所は、当事者となる資格を有しない者及び当事者である資格を喪失した者を家事審判の手続から排除することができる。」と規定されており、相続人を譲渡した者は遺産分割手続から排除されることになります。

(弁護士 井上元)

相続の法律相談ご予約

フリーアクセス:0120-967-330(御予約受付:平日 午前9:30~12時、午後1時~ 5:30)

相談予約で夜間・土曜面談対応いたします。

メールでのご予約は24時間受付

土曜相談会のご案内

毎月1回、土曜日に相談会を行います。

初回1時間無料・予約制

詳細はここをクリックしてください

OSAKAベーシック法律事務所

御堂筋線・京阪電鉄淀屋橋駅1分

〒541-0042
大阪市中央区今橋 4 丁目 3 番 6 号
淀屋橋 NAO ビル 3 階

交通至便 淀屋橋駅1分

アクセスマップはこちら

専門家ネットワーク

弁護士
税理士、司法書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、その他の専門家

Q&A 任意後見入門



任意後見契約締結から終了まで分かりやすく解説しています!