相続開始後の遺留分の放棄

相続開始前に遺留分を放棄するためには、家庭裁判所の許可が必要です(民法1043条1項)。被相続人の生前においては、被相続人や関係者からの圧力により不本意な遺留分放棄がなされる可能性 があり、諸子均分相続の理念に反することになるからです。

これに対し、相続開始後に遺留分を放棄するためには、家庭裁判所の許可はいりません。相続開始後であれば上記のような弊害も少ないからです。

遺留分減殺請求権は遺留分権利者が遺留分を侵害する贈与や遺贈があったときから1年の時効にかかりますので(民法1042条)、相続開始後の遺留分放棄が行われることは少ないものと思われます。

しかし、遺留分権利者が遺留分減殺請求権を行使しないようなことを言っていても、何時、前言を翻して遺留分減殺請求権を行使されるか分からず不安だという相談を受けることもあります。

この場合、遺留分の放棄をしてもらうようアドバイスさせていただいております。

相続開始後の遺留分の放棄をしてもらうには、遺留分権利者から遺留分減殺請求を受ける者に対して、遺留分を放棄する旨の意思表示をしてもらうことになります。これには所定の方式はありませんが、遺留分を放棄する旨の書面を書いてもらえばよいでしょう。

                                                                                                                                                                            (弁護士 井上元)

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