遺言者が遺言内容と矛盾する行為をしたときに遺言の効力はどうなるか

遺言を作成したとしても、遺言を作成した被相続人は、死亡するまでは当然自分の財産を処分したりすることができます。しかし、被相続人の行為が遺産の内容と矛盾するようなものの場合、遺言の効力がどうなるのかが問題となります。

1 民法1023条2項

   遺言の内容と抵触する行為を遺言者が生前にしたときは、その抵触する部分の遺言は撤回されたものとして失効します。しかし、抵触したかどうかは、通常の場合、明確ではなく争いになる可能性があります。 

2 遺言が遺言者の生前の行為により撤回されたとして裁判例 

  最判昭和56年11月13日判決(判タ456号86頁)では、まず、抵触について、「その法意は、遺言者がした生前処分に表示された遺言者の最終意思を重んずるにあることはいうまでもないから、同条二項にいう抵触とは、単に、後の生前処分を実現しようとするときには前の遺言の執行が客観的に不能となるような場合にのみとどまらず、諸般の事情より観察して後の生前処分が前の遺言と両立せしめない趣旨のもとにされたことが明らかである場合をも包含するものと解するのが相当である。」としました。そのうえで、終生扶養を受けることを前提として養子縁組をし、その所有する不動産の大半を養子に遺贈する旨の遺言について、遺言者がその後養子に対する不信の念を深くして協議離縁をし、法律上も事実上も扶養を受けないことにした場合には、遺言は、その後にされた協議離縁と抵触するものとして撤回されたものとすべきとしました。 

3 遺言が遺言者の生前の行為により撤回されていないとした裁判例 

  高松地裁平成6年2月18日判決(判タ842号190頁)では、土地建物その他債権のすべてを妻に遺贈するという内容の自筆遺言証書を作成していたが、死亡するまでの間に、遺贈の対象となる土地の一部を売却したり、建物の一部を取り壊すなどしており、それらの行為が遺言の内容と抵触し、遺言が不可分的に撤回されたか争われた事案です。

   上記高松地裁判決は、最高裁昭和43年12月24日判決(民集23巻13号3270頁)を引用し、「民法一〇二三条二項の法意は、遺言者がした生前処分に表示された遺言者の最終意思を重んずるにあるはいうまでもないが、他面において、遺言の取消は、相続人等の法律上の地位に重大な影響を及ぼすものであることにかんがみれば、遺言と生前処分が抵触するかどうかは、慎重に決せられるべきである」としたうえで、売却したりした不動産については、抵触する生前処分により遺言を取り消したものと見るべきであることはいうまでもないが、その余の部分については、売却した不動産と遺言に記載された不動産の面積の比率、生前処分にいたった事情、家庭状況等の事実に照らせば、遺言の全部を取り消したものとみなすことは困難としました。

  上記高松地裁判決以外でも、遺言の対象となった土地が後に合筆、分筆及び一部売却された大阪高裁平2年2月28日判決(判タ737号210頁)の事案などがあります。

                                                        (弁護士 中村友彦)

相続の法律相談ご予約

フリーアクセス:0120-967-330(御予約受付:平日 午前9:30~12時、午後1時~ 5:30)

相談予約で夜間・土曜面談対応いたします。

メールでのご予約は24時間受付

土曜相談会のご案内

毎月1回、土曜日に相談会を行います。

初回1時間無料・予約制

詳細はここをクリックしてください

OSAKAベーシック法律事務所

御堂筋線・京阪電鉄淀屋橋駅1分

〒541-0042
大阪市中央区今橋 4 丁目 3 番 6 号
淀屋橋 NAO ビル 3 階

交通至便 淀屋橋駅1分

アクセスマップはこちら

専門家ネットワーク

弁護士
税理士、司法書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、その他の専門家

Q&A 任意後見入門



任意後見契約締結から終了まで分かりやすく解説しています!