遺言書が複数ある場合に遺言の効力はどうなるか

 遺言は何通でも自由に作成できますから、被相続人の死後、遺言が複数見つかることがあります。そのような場合、各遺言の対象となる遺産がまったく異なるものであればいいのですが、そうではなく複数の遺言の間で矛盾が生じているのであれば、相続人の間でその有効性や解釈で争いが生じる危険性があります。

1 遺言の効力

遺言は、遺言者の意思による遺産の処分ですから、複数の遺言の間で、内容が矛盾・抵触するのであれば、前に作成された遺言が、後の遺言と矛盾する部分について取り消されたものとして失効します。これは、民法1023条で規定されています。

2 複数の遺言の『矛盾・抵触』

遺言者の意思を最大限尊重するという観点からは、複数の遺言が『矛盾・抵触』とは、前に作成された遺言を無効にしなければ、後に作成された遺言を実現できない程度に、複数の遺言間で内容が矛盾・抵触している必要があります。複数の遺言が全く関係ない場合は有効であるのは当然ですし、複数の遺言同士が条件関係になっている場合も有効です。

3 東京高裁平成14年8月29日判決(判タ1114号264頁)

東京高裁平成14年8月29日判決の事案は、高齢の夫が①その妻に遺産をすべて譲るとの自筆証書遺言と、その後に作成された②夫の死後、土地家屋の現状を維持するとともに、妻の死後その処分代金を子供らに一定の割合で与える旨の自筆証書遺言の2つの遺言があった事案ですが、①②の遺言の間に矛盾・抵触はないとしました。

 上記東京高裁判決は、遺言の解釈の仕方について、「遺言の解釈は、遺言書に記載された文言をどう解するかの問題であり、その意味で、遺言書を離れて遺言者の真意を探求することは許されない。しかし、その解釈に当たっては、単に個々の文言を形式的に判断するだけではなく、遺言書の記載全体に照らして遺言者の真意を探求すべきものである。そして、遺言書の文言が必ずしも明確でない場合には、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況なども考慮して遺言者の真意を探求し、その趣旨を確定すべき」としたうえで、第二遺言は、第一遺言を前提に、子供らに対し、遺言者の死亡後、妻の取得する土地、家屋等について、妻の生活費や病院の費用等が不足した場合でも子供らの側からその売却や分割等を求めないことを指示するとともに、妻の死亡後は、その財産の分割方法として(妻が死亡したのちの妻の相続についての遺言者の要望を述べたもの)、それを換価処分の上、その代金を遺言者の指示どおりに配分することを指示したもので、2つの遺言間に矛盾しないとしました。

 

文言を形式的に見ると矛盾している場合でも、遺言がなされた背景事情を考慮して矛盾しないとして遺言が有効になる場合もあるということですが、いずれにしろ、不明確な遺言を作成すると相続人間で紛争になる可能性が高いですから、一度専門家である弁護士などに相談して、後の紛争を予防するべきです。

                                                                                                                                       (弁護士 中村友彦)

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