遺留分減殺請求によって、効力がなくなった遺言の部分に関する権利はどうなるか

   被相続人が自分の財産の処分として遺言を作成したとしても、被相続人の死後、その遺言が相続人の遺留分に配慮していない場合に、遺留分権利者である相続人から遺留分減殺請求がなされ、遺贈するといった遺言の効力が一部なくなることがあります。このような場合、遺留分減殺によって効力がなくなった遺言の部分に関する権利が、相続財産に戻って遺産分割の対象になるのか、それとも遺留分減殺請求をした相続人に帰属し、受遺者等と共有関係になる等となるのかが問題となります。

   最高裁平成8年1月26日判決(判タ903号104頁)は、「遺言者の財産全部についての包括遺贈に対して遺留分権利者が減殺請求権を行使した場合に遺留分権利者に帰属する権利は、遺産分割の対象となる相続財産としての性質を有しないと解するのが相当である」として、相続財産に戻らず、遺産分割の対象とならないとしました。

 その理由として、「特定遺贈が効力を生ずると、特定遺贈の目的とされた特定の財産は何らの行為を要せずして直ちに受遺者に帰属し、遺産分割の対象となることはなく、また、民法は、遺留分減殺請求を減殺請求をした者の遺留分を保全するに必要な限度で認め(1031条)、遺留分減殺請求権を行使するか否か、これを放棄するか否かを遺留分権利者の意思にゆだね(1031条、1043条参照)、減殺の結果生ずる法律関係を、相続財産との関係としてではなく、請求者と受贈者、受遺者等との個別的な関係として規定する(1036条、1037条、1039条、1040条、1041条参照)など、遺留分減殺請求権行使の効果が減殺請求をした遺留分権利者と受贈者、受遺者等との関係で個別的に生ずるものとしていることがうかがえるから、特定遺贈に対して遺留分権利者が減殺請求権を行使した場合に遺留分権利者に帰属する権利は、遺産分割の対象となる相続財産としての性質を有しないと解される。そして、遺言者の財産全部についての包括遺贈は、遺贈の対象となる財産を個々的に掲記する代わりにこれを包括的に表示する実質を有するもので、その限りで特定遺贈とその性質を異にするものではないからである。」と判示しました。

    したがって、遺留分減殺によって、遺留分権利者に帰属した権利は、不動産といった不可分なものは、他の受遺者等と民法249条の共有に関する法理で処理されることなり、可分な債権は、遺留分を保全する限度で遺留分権利者である相続人に帰属することになります。

                                                                                   (弁護士 中村友彦)

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