遺留分減殺請求後にその目的物が第三者に譲渡された場合にどうなるか

    相続人の遺留分を侵害するような贈与がなされ、さらに受贈者が目的物を第三者に譲渡したときに遺留分減殺請求をした場合の処理については、民法1040条が規定しています。しかし、この民法1040条の規定は、目的物が第三者に譲渡された後に、遺留分を侵害された相続人が遺留分減殺請求をすることを想定しています。しかし、ケースによっては、遺留分減殺請求がされた後に、遺留分減殺請求を受けた者が第三者に譲渡することも考えられ、このようなときにどのように処理されることになるかが問題になります。

 最高裁昭和35年7月19日判決(民集14巻9号1779頁)では、遺留分減殺請求後、目的物である不動産を買受けた者に対し遺留分減殺請求をなし得ないとした原審の判断を正当としました。当該原審は、目的物である不動産を買いうける当時遺留分権利者らに損害を加えることを知っていたものであるから、不動産を買い受けた者に対しても遺留分減殺を請求できるという主張に対し、不動産を買い受けたのは遺留分減殺請求後であるから、かかる場合においては民法1040条1項但書の規定は適用ないとしました。

 したがって、対抗要件の問題として処理されることになり、譲り受けた第三者が、すでに遺留分減殺請求がされていることを知っていたとしても、原則として、登記等の対抗要件を備えていれば、当該第三者は自分の権利を主張できることになります。

                                                                                                                                      (弁護士 中村友彦)

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