無効な遺言の死因贈与への転換(自筆証書遺言のケース)

遺言は、遺言者である被相続人の財産の処分方法についての意思表示ですが、作成にあたって方式が民法で定められており、その方式の要件を満たさなければ無効になります。しかし、遺言を無効にしてしまい、あとは法定相続分で遺産を分割すると、遺言者の意思が実現されません。そこで、遺言としては無効であったとしても、死因贈与としては有効にならないかが問題になります。

 1 死因贈与

      死因贈与は、贈与者が生前に受贈者と贈与契約を締結し、贈与者の死亡を効力発生条件とする契約です(民554条)。死因贈与は契約であり、当事者の合意によって成立し、遺言のように書面で作成する必要はありません。

  2 死因贈与とした裁判例

     (1)水戸家裁昭和53年12月22日決定(家月31巻9号50頁)

      水戸家裁昭和53年12月22日決定では、遺言は方式を満たさず無効だが、遺言書の内容自体から判断すれば、申立人に対し遺言者が自己の死亡を原因としてその財産及び会社の権利を贈与する意思を表示したいわゆる死因贈与の申込みと解され、押印こそないが、全文及び日附署名は遺言者の自筆によるものであること、死因贈与の申込みに対し当時これを申立人において受諾したことが一応認められるから、右死因贈与契約は当時成立したものということができるとしました。 

     (2)東京地裁昭和56年8月3日判決(家月35巻4号104頁) 

       東京地裁昭和56年8月3日判決では、遺言書が作成されるに至った経緯について考慮し、遺言書が自筆証書遺言としての要式性を欠くものとして無効であるとしても、遺言者が死亡した場合には自分の財産の二分の一を原告に贈与する意思を表示したものであり、原告はこの申し出を受け入れたものであると認めるのが相当であるとしました。 

3 死因贈与とするのを否定した裁判例

 仙台地裁平成4年3月26日判決(判タ808号218頁)では、遺言が自筆でないので無効としたうえで、代筆者は、遺言者が死亡してその葬儀の日まで遺言を保管し、葬儀の日に持参して、原告に対しこれを呈示したことが認められることから、原告は葬儀の日以前に本件書面を見る機会はなかったとしました。
 そして、問題となっている書面は、遺言書以外のなにものでもなく、その作成の状況、保管の経緯、原告等の親族に呈示された時期などの事情を加えて斟酌しても、死因贈与の意思表示の趣旨を含むとは認められず、また、それに対する原告の承諾の事実も認められないとして死因贈与を否定しました。 (弁護士中村友彦)

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