他人の補助(添え手)を受けて作成した遺言は有効か

  自筆証書遺言の要件の一つが、全文の自書ですが、遺言を作成する被相続人によっては、高齢や障害等の影響で、上手く遺言を自分で書けない人もいます。このような場合に、他人が添え手をして、遺言を作成するなどした場合に、当該遺言は「自書」の要件を満たすかが問題となります。添え手をした者が、相続人の一人であり、作成された遺言も添え手をした相続人に有利な内容になっているようなケースでは、遺言者である被相続人の真意で作成されたか争いになりますので、訴訟等で紛争になる可能性が高いです。

1 最高裁昭和62年10月8日判決(民集41巻7号1471頁)

 (1)自書能力 

まず、上記最高裁は次のように述べて、遺言の作成には自書能力が必要であり、元々読み書きできたものが、後で筆記について他人の補助を受けるようになったとしても、原則自書能力を失わないとしました。「遺言者が遺言当時自書能力を有していたことを要するものというべきである。そして、右にいう「自書」は遺言者が自筆で書くことを意味するから、遺言者が文字を知り、かつ、これを筆記する能力を有することを前提とするものであり、右にいう自書能力とはこの意味における能力をいうものと解するのが相当である。したがって、全く目の見えない者であつても、文字を知り、かつ、自筆で書くことができる場合には、仮に筆記について他人の補助を要するときでも、自書能力を有するというべきであり、逆に、目の見える者であっても、文字を知らない場合には、自書能力を有しないというべきである。そうとすれば、本来読み書きのできた者が、病気、事故その他の原因により視力を失い又は手が震えるなどのために、筆記について他人の補助を要することになったとしても、特段の事情がない限り、右の意味における自書能力は失われないものと解するのが相当である」

 (2)添え手をした遺言が有効となる要件 

添え手を受けて作成された遺言が有効になる場合について、上記最高裁は、自書が必要とされる趣旨を踏まえて、以下の要件をあげて判示しました。

 病気その他の理由により運筆について他人の添え手による補助を受けてされた自筆証書遺言は、 

①遺言者が証書作成時に自書能力を有すること
②他人の添え手が、単に始筆若しくは改行にあたり若しくは字の間配りや行間を整えるため遺言者の手を用紙の正しい位置に導くにとどまるか、又は遺言者の手の動きが遺言者の望みにまかされており、遺言者は添え手をした他人から単に筆記を容易にするための支えを借りただけであること
③添え手が添え手をした他人の意思が介入した形跡のないことが、筆跡のうえで判定できること

以上の3要件があれば「自書」の要件を充たすものとして、有効であると解するのが相当としました。 

 

上記最高裁以降も、添え手を受けた遺言が有効かどうか争われた裁判例があり、有効とするもの、無効とするものが分かれています(弁護士中村友彦)。 

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