他人の添え手を受けて作成された遺言の効力の裁判例

   遺言の要件の1つに「自書」があり、他人の添え手を受けて作成された遺言については、この要件を満たすものであるかが問題となります。この他人の添え手を受けて作成された遺言の効力については、最高裁昭和62年判決が有効となる場合の要件を示しています。しかし、実際にそれらの要件を満たすかは、事実認定の問題であり、裁判等で争われるところです。裁判例では、有効とした例、無効とした例と分かれています。他人の添え手を受けた遺言は、無効になるリスクがあることを考えると、その作成は特に慎重に行うか、公正証書遺言の方法で作成するべきです。

1 有効とした例(東京高裁平成5年9月14日判決家月47巻9号61頁) 

 遺言者が、バインダーを台にして自ら右手にボールペンを握り添え手者の用意した用紙に遺言の内容を書こうとしたが、肘が固定せず手が震えてそのままでは筆記が困難であったので、添え手者は、自分の右掌を上に向けて遺言者の右手首の下に当てて同人の手を支えてやり、同人の手を筆記する位置に導いてやったこと、遺言者は、添え手の補助を受けながら自分の意思で一文字ずつ筆記し、添え手者が、右手首を上から握ったり、ボールペンに触れたり、あるいは筆順に従って同人の手を誘導したりしたことはなかったことや、筆跡鑑定を考慮して、自書の要件を満たすものであるから、自筆証書遺言を有効としました。

 

2 否定した例(東京地裁平成18年12月26日判決判タ1255号307頁)

 多発性脳梗塞を発症して右片麻痺、高次脳機能障害及び失見当識が生じ、左脳出血、脳室穿破により右片麻痺及び高次脳機能障害は顕著に悪化し、その後若干の改善はみられたが、書字については,麻痺した右手で書く意思は認められるものの、字にならず、鉛筆をうまく握れず、なぐり書きをしただけで、字のように見えても判読することができないものであること等から字を書けなかったこと、他方で、遺言書には歪んだ字がいくつか見られるが、「そんぽ」の「ぽ」の字の「゜」は、円の始点と終点が一致し、きれいな円形を保っているし、「A」の「春」の字の「日」は、書き始めから書き終わりまではみ出すことなく形が保たれて完結しているなど、おおむね整った字が書かれており、遺言の文字にに乱れがないことは不自然であることなどを考慮して、添え手の者の意思が介入していないとは判定できるものではないとし、自書の要件に欠け無効としました。(弁護士中村友彦) 

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