被相続人による欠格の宥恕の可否

被相続人は、推定相続人に相続欠格事由があっても、これを宥恕し、相続資格を回復させることができるのでしょうか?

相続欠格は、相続財産の基盤維持という公益的理由から被相続人の意思を問題とせずに相続資格を剥奪するのであり、民事的制裁の一種です。これを重視すると、相続欠格の場合には、被相続人の意思で相続資格を回復させる(欠格の宥恕)は認められないことになります。

これに対し、相続とは被相続人の財産の承継先を決定するための制度であるから、その財産の帰属先につき被相続人の意思が明確な場合にはその意思を尊重すべきとする見解もあります。

裁判例では、広島家裁呉支部平成22年10月5日審判が宥恕を認めています。

広島家裁呉支部平成22年10月5日審判・家庭裁判月報63巻5号62頁

被相続人から宥恕された民法891条1号所定の相続欠格者は相続人としての資格を有するとしました。相手方BとCは同順位の相続人の事案です。

「相手方BがCを殺害したことから、相手方Bは民法891条1号所定の者に当たる。

しかし、相手方Bは、昭和32年(小学1年生時)、交通事故に遭い、右脚の膝から下の部分を失い、義足を使用して歩行することを余儀なくされるようになり、読み書きの能力が不十分である(特に漢字の習得がほとんどできていない。)など知的能力もやや劣る状態となったこと、Cは、上記のような障害を持つ相手方Bを無視したり、馬鹿にしたりするような態度をとったりしたことから、相手方Bは、Cに憎しみを覚えるようになり、言い争いもたびたびあったこと、そのような経過を経た後の平成15年×月×日、相手方Bは、酒に酔ったCから、『親父が死んでわれが死ねば、最低の葬式をして、残った金はわしが使う。』などと言われて激高し、Cをナイフで何回も突き刺すなどして殺害するに至ったこと、被相続人Aは、相手方Bが被相続人A経営の呉服店を約33年間にわたり手伝ってきたことを評価していた上、上記事件についてはCにも非があったと思い、刑事裁判においては、相手方Bに寛大な刑が下されることを求め、また、服役後は、何回か刑務所を訪ね、障害を持つ相手方Bの出所後の生活を案じ、『心配ないから。』と話すなどしたことが認められる。

上記認定事実によれば、被相続人Aは、遅くとも相手方Bが上記の刑務所に服役したころには、相手方Bに対し、相手方Bを宥恕し、その相続人としての資格を有することを認める旨の意思表示をしたものと推認される。したがって、相手方Bは、被相続人Aの相続人としての資格を有するといえる。」

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