特別縁故者

相続人のいない方が財産を残して亡くなられることがあります。
この場合、残された財産は最終的には国庫に帰属しますが、死亡した方と特別の縁故にあった方に対して財産が分与されることがあります。
財産の分与を求めることができる方は、①被相続人と生計を同じくしていた方、②被相続人の療養看護に努めた方、③その他被相続人と特別の縁故があった方、とされています。
特別縁故者に対する財産分与申立をお考えの方は、当事務所にご相談いただければ、適切な助言、サポートをさせていただきます。

特別縁故者への財産分与制度

制度の趣旨

被相続人が死亡した後、相続人がいなければ、最終的には国庫に帰属しますが、相当と認められるときには、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養監護に務めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後に残存する相続財産の全部または一部を与えることができるとされています(民法958条の2第1項)。
これが、「特別縁故者への相続財産の分与」の制度です。
1962年(昭和37年)の民法一部改正により導入されたものであり、相続人がいない場合の遺産は、国に帰属させるよりも、被相続人に特別の縁故のある者に帰属させたほうがよいとの判断によるものです。
特別縁故者への相続財産の分与制度は、あくまでも、相続人いない場合であり、相続人が1人でもいる場合には、いくら被相続人と特別の縁故があっても分与されません。

裁判所の裁量によること

特別縁故者は裁判所の裁量により相続財産を分与されるに過ぎず、「分与請求権」が与えられたものではありません。
最高裁平成6年10月13日判決・判例タイムズ901号117頁は、特別縁故者として相続財産の分与を受ける可能性があるとしても、この特別縁故者として相続財産の分与を受ける権利は、家庭裁判所における審判によって形成される権利にすぎず、審判前に相続財産に対し私法上の権利を有するものではないと判示しています。

特別縁故者とは?

特別の縁故者とは、①被相続人と生計を同じくしていた者、②被相続人の療養監護に務めた者、③その他被相続人と特別の縁故があった者です。
特別縁故者は、自然人に限られず、法人(会社、財団法人、宗教法人、学校法人、社会福祉法人、地方公共団体など)でもかまいません。
特別縁故者としての地位は一身専属的なものであり、この者が相続財産の分与を申し立てることなく死亡した場合、この者の相続人はその地位を承継しません(東京高裁平成16年3月1日決定・家庭裁判月報56巻12号110頁)。
これに対し、特別縁故者として相続財産の分与の申立てがされた後に、申し立てた者が死亡したときは、この者の相続人は相続財産の分与を受けることが現実的に期待できる地位を得ることになり、その地位は財産的性格を持ちますので、その地位を承継するとされています(大阪高裁平成4年6月5日決定・家庭裁判月報45巻3号49頁)。

分与の手続

相続財産清算人選任の申立て

相続人の存在、不存在が明らかでないとき(相続人全員が相続放棄をして、結果として相続する者がいなくなった場合も含まれます)、利害関係人(被相続人の債権者、特定遺贈を受けた者、特別縁故者など)は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に対し、相続財産の清算人選任の申立てをすることできます。
特別縁故者として相続財産の分与を求めたい場合、まず相続財産清算人選任の申立てをしなければなりません。

予納金

相続財産の内容から、相続財産清算人が相続財産を管理するために必要な費用(相続財産清算人に対する報酬を含みます)に不足が出る可能性がある場合には、相続財産清算人が円滑に事務を行うことができるように、申立人に相当額を予納金として納付することが求められます。

相続財産清算人の選任

家庭裁判所は、申立てにより、相続財産の清算人を選任します(民法952条1項)。相続財清算人は、被相続人の債権者等に対して被相続人の債務を支払うなどして清算を行い、清算後残った財産を国庫に帰属させることになりますが、国庫帰属の前に特別縁故者に対する相続財産分与が行われます。

相続財産清算人選任後の手続

①相続財産清算人選任・相続人捜索の公告

家庭裁判所は、相続財産清算人を選任したときは、遅滞なく、相続財産清算人が選任されたこと及び相続人があるならば一定の期間にその権利を主張すべき旨を公告しなければならず、その期間は6ヶ月を下ることができません(民法952条2項)。

②相続財産の債権者・受遺者を確認するための公告

①の公告があったときは、相続財産清算人は、すべての相続債権者および受遺者に対し、2ヶ月以上の期間を定めて、請求の申出をすべき旨の公告をします(民法957条1項)。

③特別縁故者に対する相続財産分与の申立て

相続人の権利主張期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続財産清算人に知れなかった相続債権者及び受遺者も含め失権効が生じ、権利関係が確定します(民法958条)。
①の公告の期間満了後、3ヶ月以内に特別縁故者に対する相続財産分与の申立てをする必要があります(民法958条の3第2項)。
このように、特別縁故者として相続財産の分与を求める方が、相続財産清算人の選任申立て及び相続財産分与の申立てを行うまで長期間経過しますので、忘れないように管理をしてください。また、相続財産清算人から①の公告の終期の連絡があるとは限りませんので、自分から問い合わせるなどしてください。
この期間を経過してしまいますと、相続財産分与の申立ては却下されますので注意してください。福岡高裁平成16年12月28日決定・家庭裁判月報57巻11号49頁は、相続財産管理人の選任申立てと相続財産分与の申立ては、法律上も明らかに別個の手続とされており、手続の明確性、安定性の見地からしても、いかに特別縁故者の資格でもって相続財産管理人の選任申立てをしたからといって、これを相続財産分与の申立てと評価することはできないなどとして、公告期間満了日から3ヶ月経過後にされた相続財産分与の申立てを却下した原審判を維持しています。

コラム

 

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