遺留分に関する民法1040条は遺贈に対しても適用があるか

   民法1040条は、相続人の遺留分を侵害するような贈与がなされ、贈与の目的物が第三者に譲渡された場合に、遺留分減殺の処理について規定しています。しかし、文言上では、「贈与」となっています。相続人の遺留分を侵害するような被相続人の財産の処分は、「贈与」に限られず、遺言による「遺贈」といったものがほかに考えられます。そこで、「遺贈」の目的物が第三者に譲渡された場合、遺留分減殺の処理の方法が問題となります。

 最高裁昭和57年3月4日判決(民集36巻3号241頁)では、この点について、「被告は民法1040条は、受贈者に対する減殺請求の規定であって、被告のような受遺者には、適用がない旨主張するけれども、遺贈の場合にも贈与の場合と別異に解すべき合理的理由は見出しがたく、右条項が遺贈の場合を規定していないのは、遺贈の場合に右条項の適用を廃除する趣旨ではなく、減殺前に遺贈の目的物の譲渡等が行なわれるのは稀であることなどからあえて規定されなかったにすぎないものと解され、遺贈の場合にも右条項を類推適用すべきものと解する。」という第1審である名古屋地裁の判断を正当なものとした原審を支持し、「遺贈」の場合に1040条を類推適用をすることを認めました。

 最高裁平成10年3月10日判決(民集52巻2号319頁)でも、上記最高裁昭和57年3月4日判決を引用し、「遺留分権利者が減殺請求権を行使するよりも前に減殺を受けるべき受遺者が遺贈の目的を他人に譲り渡した場合には、民法1040条の類推適用により、譲渡の当時譲受人が遺留分権利者に損害を加えることを知っていたときを除き、遺留分権利者は受遺者に対してその価額の弁償を請求し得るにとどまるものと解すべきである」としています。

                                                                                                                    (弁護士 中村友彦)

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