遺言無効と遺留分減殺についての弁護士の注意義務に関する東京地判平成27.3.25

 被相続人の遺言が存するところ、当該遺言により法定相続分を減らされ、あるいは遺留分を侵害されるなどの不利益を受ける相続人は、遺言無効を主張するのか、あるいは、遺留分減殺請求を行うのか判断に迷うことがあります。

 この点につき、弁護士の義務違反を認めた東京地裁平成27年3月25日判決がありますのでご紹介します。

東京地裁平成27年3月25日判決

事案の概要

① 被相続人Bは平成15年5月死亡し、法定相続人は、X1、X2及びAの3名であった。

② Bは遺言を遺しており、その遺言ではAに一切の財産を相続させるとされていた。

③ Xらは、Y弁護士に依頼し、Bに対し、処分禁止の仮処分の申立を行い、遺言無効確認訴訟を提起した。同訴訟において、遺言書の筆跡鑑定が行われ、平成16年4月、遺言書の筆跡はBのものであると認められるとの鑑定書が提出された。

④ Y弁護士は、上記訴訟において、平成16年9月、仮に遺言が有効であると認定されても、Aは詐欺によって亡Bに遺言をさせた者(民法891条4号)に該当するから相続人の欠格事由があると主張したものの、結局、遺留分減殺請求権を行使することはなかった。尚、平成19年3月、Xらは別の弁護士に依頼して遺留分減殺請求訴訟を提起したが、本来、返還を受けることができる額の3割で和解している。

⑤ 上記遺言無効確認訴訟はXらの敗訴で終わり、逆に、XらはAから損害賠償請求訴訟を提起され、XらはAに対し損害賠償金を支払う旨の和解が成立した。

⑥ そこで、Xらは、Y弁護士に対し、損害賠償請求訴訟を提起した。

判決

 判決は、次のように述べてY弁護士に対して損害賠償を命じた。

「控訴審係属時においては、Xらの遺留分減殺請求権の消滅時効は既に完成していると判断される可能性が極めて高かったものといえる。そして、遺留分減殺請求権の消滅時効が完成しているか否かは、遺留分権利者にとって重大な利害に関わる問題であるから、弁護士であるY弁護士としては、前記・・・のとおり、遅くとも本件遺言無効確認請求訴訟の控訴審における最終の和解協議が行われた平成18年8月には、Xらの遺留分減殺請求権の消滅時効は既に完成していると判断される可能性が高いことを説明すべきであったものというべきである。

 しかるに、Y弁護士は、Xらに対し、その説明をすることを怠り、同年12月以降において、時効消滅しないことは明らかであるなどと説明したものであり、Y弁護士には、遺留分減殺請求権の消滅時効が完成した旨の説明に係る善管注意義務違反があったものというべきである。」

コメント

 遺言の無効を主張する場合、予備的に遺留分減殺請求権を行使するという方法もありますが、予備的にせよ遺留分減殺請求権を行使するということは、遺言無効の主張に際して不利に扱われることも危惧されるところです。

 しかし、遺留分減殺請求権を何時まで行使できるか微妙な判断となりますので、やはり、1年以内に遺留分減殺請求権を行使しておく方が賢明であると言えるでしょう。

(弁護士 井上元)

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