遺言の作成件数
日本公証人連合会の調査によりますと、公正証書遺言の作成件数は2009年(平成21年)には77,878件であったのが、2018年(平成30年)には110,471件と増加しています。
一方、司法統計によりますと、相続開始後に裁判所で行われた遺言の検認は2009年(平成21年)には13,962件であったのが、2018年(平成30年)には17,487件と増加しています(なお、公正証書遺言は検認を行う必要がありませんので、検認されているのはほぼ自筆証書遺言です)。
このように、遺言作成件数が増えていることは、遺言を作成することにより、自分の死後、相続人間において紛争が生じることを回避しようとする現れではないでしょうか?
一方、2018年度(平成30年度)の司法統計によると、家庭裁判所で解決した遺産分割事件のうち約33%(3分の1)が遺産総額1000万円以下の案件であり、約76%(4分の3)が遺産総額5000万円以下の案件となっています。
遺言を作成する必要があるのはお金持ちだけだとお思いかもしれませんが、実際に遺産分割をめぐって争いとなる多くは一般の家庭なのです。
相続紛争を完全に回避することは困難かもしれません。しかし、自分が元気なうちに、財産を整理して、誰に、どの財産を取得させるか、公平適正な分配方法を考えて遺言を作成することは、相続人による紛争を回避する有力な手段の一つとなるはずです。