秘密証書遺言について
秘密証書遺言とは?
普通方式の遺言の一つに、秘密証書遺言があります(民法970条~972条)。
これは、遺言者が、①遺言書に署名し押印する、②遺言者が遺言書を封じ、遺言書に用いた印章をもって封印する、③遺言者が公証人1人および証人2人以上の前に封書を提出して自己の遺言書である旨ならびにその筆者の氏名および住所を申述する、④公証人がその証書を提出した日付および遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者および証人とともに署名し、押印する、という手順で作成されます。利用件数は極めて少ないようです。
長所
- 自書能力がなくても遺言書を作成できる(パソコンで作成してもよいし、他人に書いてもらってもよい)。
- 遺言の存在を明らかにできるため、死後の遺言が発見されないとか隠匿・破棄されるといった危険性が低い。
- 遺言の内容を死亡の時まで明らかにしないでおくことができる。
短所
- 遺言をしたという事実が明らかになってしまう。
- 他人が書いたものを遺言者本人に渡されて秘密証書遺言が作成される危険がある。
- 遺言書作成の費用がかかる。
- 公正証書遺言と比べると無効となるおそれが大きい。
- 家庭裁判所の検認が必要である(民法1004条)。
自筆証書遺言の保管制度が便利
相続法改正により、2020年(令和2年)7月10日から、法務局における自筆証書遺言の保管制度が始まりました。第三者に内容を知られることなく法務局が保管してくれますので、今後は自筆証書遺言の保管制度の利用が便利かと思います。