主債務者死亡の場合における連帯保証人の相続放棄
父Aが子Bの借金の連帯保証人となっていたところ、Bが借金の返済ができないため、Aが先祖代々の土地を売却してその代金で借金の返済をした場合、Aの土地売却により利益があっても、Bから回収できない金額については控除され、その部分に対しては所得税は課されません(所得税法64条2項)。
それでは、Bが借金だけを残して死亡してしまったため、Aが土地を売却して返済した場合はどうでしょうか?
Aは相続放棄しても連帯保証人として返済義務を負っていますから、相続放棄は意味がないように見えます。しかし、土地売却により利益が生じた場合、返済に充てた金額を利益から控除することができず、利益全額に対して所得税が課されてしまいます。このような事案において、最高裁判所平成9年12月18日判決・税資229号1065頁は、AのBに対する求償権は混同により直ちに消滅するので所得税法64条2項の求償権を行使することができない場合には該当しないと判断しているのです。
したがって、上記のような場合には、AはBの相続を放棄したうえで、土地を売却して連帯保証人として返済する必要があるのです。