遺産分割の当事者である者を除外してされた遺産分割の効力

遺産分割の無効

通常、被相続人の戸籍を調査したうえで、戸籍上の相続人とされる者の全員が参加して遺産分割が行われます。

しかし、遺産分割後、新たに相続人が判明することがあります。例えば、①被相続人の生前に被相続人を被告とする認知の訴えが提起されており、遺産分割後に認知が認められた場合、②遺産分割後に離縁や離婚無効の裁判が確定した場合などです。

相続財産は、遺産分割が成立するまでは、相続人全員の共有となりますから、遺産分割は相続人全員で行わなければならず、遺産分割の当事者である者を除外してされた遺産分割割は無効となり、新たに遺産分割をやり直さなければなりません。

遺産分割後の認知

価額支払請求権

被相続人の死後に認知の訴えや遺言認知により、認知されることがあります。遺産分割後に、認知されたとき、認知の効力は子の出生時にさかのぼります(民法784条本文)。そのため、当該遺産分割は無効となるはずですが、民法910条で「相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。」とされています。したがって、遺産分割後に認知された子がいても、当該遺産分割は無効とならず、認知された子は価額支払請求権を有するのみとなります。

民法910条はあくまでも、遺産分割後の規定ですから、相続人の死後から遺産分割までの間に認知手続きがとられたような事案では適用されず、当該遺産分割は無効になります。

大阪高裁昭和41年7月29日決定・判例タイムズ210号252頁も、「民法910条は、認知前に他の共同相続人が遺産を処分した場合に関する規定であって、認知により相続人たる資格を取得した後における遺産の処分については適用がない」としています。

価額算定の基準時

相続の開始後認知によって新たに相続人となった者が民法910条に基づき価額の支払を請求する場合における遺産の価額の算定の基準時は、遺産分割時ではなく、価額の支払を請求した時です。

最高裁平成28年2月26日・民集70巻2号195頁

「相続の開始後認知によって相続人となった者が他の共同相続人に対して民法910条に基づき価額の支払を請求する場合における遺産の価額算定の基準時は、価額の支払を請求した時であると解するのが相当である。

なぜならば、民法910条の規定は、相続の開始後に認知された者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしていたときには、当該分割等の効力を維持しつつ認知された者に価額の支払請求を認めることによって、他の共同相続人と認知された者との利害の調整を図るものであるところ、認知された者が価額の支払を請求した時点までの遺産の価額の変動を他の共同相続人が支払うべき金額に反映させるとともに、その時点で直ちに当該金額を算定し得るものとすることが、当事者間の衡平の観点から相当であるといえるからである。」

「また、民法910条に基づく他の共同相続人の価額の支払債務は、期限の定めのない債務であって、履行の請求を受けた時に遅滞に陥ると解するのが相当である。」

価額の算定の基礎となる遺産の価額

相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既に当該遺産の分割をしていたときは、民法910条に基づき支払われるべき価額の算定の基礎となる遺産の価額は、当該分割の対象とされた積極財産の価額です。

最高裁令和元年8月2日判決・民集73巻3号374頁

民法910条の規定は、相続の開始後に認知された者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしていたときには、当該分割等の効力を維持しつつ認知された者に価額の支払請求を認めることによって、他の共同相続人と認知された者との利害の調整を図るものである(最高裁平成26年(受)第1312号、第1313号同28年2月26日第二小法廷判決・民集70巻2号195頁)。そうすると、同条に基づき支払われるべき価額は、当該分割等の対象とされた遺産の価額を基礎として算定するのが、当事者間の衡平の観点から相当である。

そして、遺産の分割は、遺産のうち積極財産のみを対象とするものであって、消極財産である相続債務は、認知された者を含む各共同相続人に当然に承継され、遺産の分割の対象とならないものである。

以上によれば、相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既に当該遺産の分割をしていたときは、民法910条に基づき支払われるべき価額の算定の基礎となる遺産の価額は、当該分割の対象とされた積極財産の価額であると解するのが相当である。このことは、相続債務が他の共同相続人によって弁済された場合や、他の共同相続人間において相続債務の負担に関する合意がされた場合であっても、異なるものではない。

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